EU鉄鋼セーフガード発動:無税枠を半減、枠外関税を50%に倍増
EUが過去最厳格な鉄鋼輸入措置を7月1日に施行、年間無税輸入量を1830万トンに削減し、2031年まで枠外関税をEU生産者保護のため25%から50%へ倍増
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概要
EUの改訂鉄鋼輸入セーフガードが2026年7月1日に施行され、年間無税枠が約3300万トンから1830万トンへ47%削減され、枠外関税が25%から50%に引き上げられた。規則(EU)2026/1384として正式化され、EEA域外すべての国からの輸入に2031年まで適用される。中国の迂回輸出が悪用してきた抜け穴を塞ぐため、製品対象が28から30カテゴリーに拡大された。10月1日から新たな「溶融・鋳造」トレーサビリティ要件が発効し、輸入業者は鉄鋼が元来液体から固体に転換された場所をミルテスト証明書で文書化する必要がある。これはベトナムやエジプト、トルコなどを経由した中国スラブの再輸出を防ぐことを目的とする。枠は四半期ごとに管理され、初年度は未使用分を繰り越せる。
なぜ重要か
EUは世界第2位の鉄鋼輸入国であり、この措置は世界的な価格を押し下げ欧州生産者を圧迫している中国の過剰生産能力への直接的な対応だ。50%の枠外関税は事実上、優遇対象外のほとんどの供給国にとって禁止的な水準だ。インド、韓国、トルコ、ブラジルなどのEU向け輸出国はEU向け輸出量が大幅に減少する局面に直面する。溶融・鋳造規則が徹底されれば、ベトナム産やエジプト産として再ラベルされた中国熱間圧延コイルの欧州への迂回輸入という抜け穴が塞がれる。また、米国が独自の鉄鋼に対するセクション232関税を維持し両者が許容輸入原産地を再定義していることから、米欧調整も複雑化する。
注目点
- 主要輸出国(インド、韓国、トルコ、ブラジル)が枠削減発効後にEU市場戦略をどう見直すか。
- 溶融・鋳造の執行が維持できるかどうか:27加盟国全体で税関の検証能力にばらつきがある。
- 排除された輸出国からのWTO提訴が見込まれる;EUは中国主導の過剰生産能力が措置を正当化すると主張する見通し。